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マリア・オリエンタリス
解説
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第50回定期演奏会
パンフレットより転載
Maria Orientalis
5 movements of St.Mary for mixed chorus
「マリア・オリエンタリス(東方のマリア)」について
千原 英喜
昨年の秋、大分市民合唱団ウイステリア・コールより、第50回記念定期演奏会のため、「アヴェ・マリア」をテーマにした"未来にあかるい希望の光のさすような新作合唱曲を"とのお話をいただいた。ウイステリア・コールは私の『おらしょ』を定期演奏会で、また全日本合唱コンクール全国大会では何と2年連続で歌っていただくなど、その活動にはエールを送っていた、新曲が、かつてグレゴリオ聖歌やルネッサンス音楽が歌い演奏されたという西洋音楽発祥の地、大分で産声を上げる、というのもなかなか感慨深いことだ。さらに、『おらしょ』がヨーロッパ=ルネッサンス音楽と日本音楽両方の素材を主に、東西混淆の音楽世界を形成しているのに対し、今回はアヴェ・マリアという単一テーマのもと、ラテン語典礼文を中心に据えた、いわば正攻法ともいえる曲づくりで、いかに多種多様な音宇宙を創りだせるか、という自分自身への挑戦の意欲も湧いてきた。というわけで書き上げたのが『マリア・オリエンタリス(東方のマリア)』である。
本曲は聖母マリアへの賛美を主題としながらも、『おらしょ』で呈示された精神世界の続編、あるいは、さらなる魂の浄化、安息を目指した作品ということができる。とはいえこの2作品はいろいろな意味でたいへん異なっている。『マリア・オリエンタリス(東方のマリア)』は全5楽章。各曲はそれぞれ違った音楽スタイルをもち、しかし内的必然性にもとづいてゆるやかにつなぎ合わさり、1つのコスモスを形成している。
作曲に際しては、Ave Mariaをはじめとするラテン語テキストに、単に新しく付曲するという事のみならず、日本人として発信すべき音を選び、日本の歌ごころを伝え、世の東西を越え、また時空を越え、人と自然、宇宙との調和、交感をも目指した、東洋の聖母マリアへのveneration(尊敬)と宗教的ヴィジョン(幻視)を表現すべく努めた。タイトルの"マリア・オリエンタリス・東方の・・・"には私のそんな思いが込められている。
最後になりましたが、本日、この曲を初演していただく指揮の飯倉貞子先生、ウイステリア・コールの皆様に心より御礼申し上げます。また猿渡健司様にはいろいろとお世話になりました、ここに厚く御礼申し上げます。
【第1曲/Preludio】
前奏曲。
<受胎告知>図像の音楽化。
天から舞い降りる天使、マリアの驚き、
そして天使の帰還−それら一連の描写。
【第2曲/アヴェ・マリア】
日本の心、なつかしい原風景といったものを基調に、
私のヴィジョンの中でヨーロッパ中世世界のマリア信仰が交錯する。
【第3曲/サルヴェ・レジーナ】
壮麗な寺院、パイプオルガンのペダル音にささえられた会衆の祈りの声。
高揚した祈りは恍惚のうちに消えゆくように終わる。
【第4曲/Intermezzo】
波の音、風の音、鳥の声・・・
第1曲との音楽的関連性を持った間奏曲。
オーガニックな雰囲気の<めでたし海の星>。
【第5曲/フィナーレ:アヴェ・マリア】
至福の喜びに充ち満ちた終曲。
作曲中は<聖母被昇天>の絵画的イメージを強く意識していた。
テキストには生月のカクレキリシタンのオラショを用いている。
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